壁一枚
「向かい合う」ということをするのではなく向かい合う。
つまり、「向かい合おう」と思ったり、意識を働かせたりではなく、その行為を行うということだ。
思ったり意識を働かせる、というのを、私は意識の二重化現象と呼んでいる。
それは、折角の自分自身の感情の起こりを止めてしまうことだ。
つまり、思いや意識が一つの壁を築き、内的な感情に届かないようにしてしまうということだ。
その意味で「考えるな」という。
だから、ここで素直にと言う言葉が出てくる。
しかし、これとて直ぐに「素直に」と思ったり意識を働かせる。
それを素直とは言わない。
素直とは、そういった回路を通さずに、直球で行為に結びついていることだ。
直球だから、そこに感情が動き、その感情は後に意識を豊かにしてくれるのだ。
その意識の二重化構造を容認するから、どんどん自分自身が混乱する。
混乱するから余計に、意識を働かせるようになる。
だから、そのドツボからは抜け出せなくなるのだ。
しかし、意識を働かせるのが間違っているのではない。
先ほど書いたように、感情が働き、その後に意識を働かせなければならないのだ。
単純に言えば、素晴らしい景色を見て感動したとする。
その感動を後に思い出し、様々な言葉を駆使して何かを語る、というようなことだ。
素晴らしい景色を体験している時には言葉はいらない筈だ。
素晴らしい景色だという言葉もいらない。
その体験の真っ最中であれば。
そんな自分と対面出来るのが「表現塾」であり、私のワークショップの特徴だ。
4月20日からの京都ワークショップ
「身体と向き合う3日間」のお知らせ
https://www.hino-budo.com/2012-KYOTOWS.htm