やった!
今日はダンサーが革命的に変化する、素晴らしい時間に立ち会えた。
日系のダンサーで、わりとすばしっこいというタイプ。
しかし、あらゆることを頭で消化するタイプだ。
だから言葉が多い。
全てのことに説明が必要なのだ。
当然身体はクリアに見えない。
ワークも今日と明日しかないので、問題はないかと全員に質問した。
色々とあったので、それぞれの稽古方法を伝えた。
そしてその日系のダンサーに
「コネクトされている感じは掴んでいるか」
と聞くと大体と答えた。
そこに「それはどんな感じだ?」と突っ込む。
「多分みなと同じだ」と答えたので「それは違う、君の身体は他のダンサーと比べてクリアではない、だから同じではない、それが見えている」と突っ込んだ。
その瞬間、彼女の顔色が変わった。
そのタイミングを外さず、やってみろ、と促した。
頭がリセットされた。
一瞬でだ。
正面向かい合いの姿がどんどんクリアに美しくなっていった。
「そうや、それや、分かるか、感じている事を分かるか」
頷く。
素晴らしい!!!!
「その感覚に自信を持てよ」
かと思うと、何がどう間違って育ってきたのか知らないが、途方も無いことをいうダンサーがたまにいる。
「身体の中に何か感じ、それが動き出すとほんとに心地良い」
「良かったね」
「身体が自由に動き出す感じで、それがとても気持ち良い」
「まあ、どうでもいいけど、それで振り付けられたことは出来るの?身体が自由に動き出す訳無いやろ、自由に動いていたら、今頃死んでいてここにはいないで」
「????」
「道路を歩いている時、突然身体が自由に動いて道に飛び出し車にはねられることだってあるやろ。身体が自由になんか動けへんからそうならないんやろ」
「君達ダンサーは雑談する為にカンパニーに入ったのか、ダンサーになったのか」
「身体の話も語りたい」
「それはダンサーを引退してからで良いだろう」
「君達が分かったと頷いても全く信じていないで、その後の動きを見ればほんとかどうかが分かるから」
「練習としては、その程度の集中で良いけど、それは舞台に立った時見えて来ないで」
ティルマンとは「満たされているから駄目。全くハングリーなところがない」と共通認識。
5日間のワークは短すぎるけど、充実した時間であることは間違いない。
とにかく、ダンサー達の妄想を全部壊してやろう。
そういえばフォーサイスカンパニーでも、一番最初のワークの時に全部壊した。
幻想・妄想の類がある限り、そして自分が心地よいのが良いと思っているかぎり、際立った身体など舞台に見えて来ないからだ。
人は思い込みを持ちやすい。
もちろん、それが悪いのではない。いくらでも自分の世界の中で楽しめば良いのだ。
ただ、舞台という事、身体が見えてこなければいけないのだから、その場合は排除しなければいけないだけだ。
残り1日なので、復習をしながらそれを応用したりして、どの程度の獲得状況かをチェックした。
クリエーションの中での問題を聞き、それに対して具体的方法を指導。
具体的方法を考え出す事を「考える」という事だと説明。
それ以外はダンサーにとって雑談だ。
芸術監督も仕上がり具合をのぞきに来て満足をしていた。
明日は、ティルマンと振付ディレクターを交えての最終打ち合わせだ。
もちろん、具体的な稽古方法を指導する為だ。
舞台には幻想は無い。
全て具体の積み重ねだ。
だから、ティルマンのビジョンを具体化する為の方法をお土産として残していくことになるだろう。
●Rear Contact 2012 京都ワークショップの基本情報をお知らせします。
お問い合わせ等は、2月14日帰国してからにお願いします。
場所:東山いきいき市民活動センター
京都市東山区花見小路通古門前上る巽町450番地(花見小路通古門前上る東入る南側)
TEL: 075-541-5151
日時:4月20,21,22日(金・土・日)
10:30~13:00 14:00~16:30 17:30~20:00
※22日に限り会場の都合で3コマ目はありません
受講料1コマ:3,000円
4コマ通し:11,000円(コマは連続で無くても可・追加1コマ2,800円)
8コマ通し:21,000円