師走に

12月は何かと忙しい。
街は何故か気ぜわしい。
クリスマス商戦たけなわというところだ。
その昔喫茶バーテンやドライのバーテンをやっていた頃は、客が来る側だったので気ぜわしいのではなく、一生懸命働かざるをえなかった。
もちろん、それが楽しかった。
そんなことを思い出した。
その頃働いていた、心斎橋の店はすっかり様変わりをしている。
時の流れを見る事が出来るのは興味深い。
それは若い人を見ているのと同じ興味深さがある。
今の若い人達は、私の若い頃よりも情報が豊富で頭が良い。
言葉もたくみだ。
体験よりも先に、それらを自然に持ってしまっている。
それが吉と出るか凶と出るのか。
それは私には分からない。
ただ言える事は、体験の中で工夫をし、自分の手で見付けた言葉ではないから、自分に対して力を持たない。
「感じる」ということを頭で処理するしかない若者を見ていて、それこそ感じた。
「俺は、今やっているような、具体的な訓練を30数年は続けている。“感じる”、言葉は簡単で理解出来る。だけど、実際にはそれを使って何かする、というのは出来ないやろ」
「はい」
「頑張れよ」

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