舞台の出来栄え

ヤニス達のステージは、何が良かったか。
それはまさしくコンテンポラリーだった。
つまり、作品に対する古典的な思い込みや、それぞれがやるべきことへの拘り、幻想、気持ちの悪い思い込み、それらが、全く見えなかったこと。
そして、1時間に及ぶ時間の中で、意識が全く変化しなかったこと。
そういったことが、彼らの作品を際立たせていた。
両者ともNDTの出身であり、フォーサイスカンパニーのメンバーだ。
つまり、両者が何を否定し、どんな手段を知っているかが共通しており、だからこそのこのパフォーマンスになった、ということが良く分かった。
そして、私がフォーサイスカンパニーで指導していたことが、この作品の核になっていることもよく見えた。
ただ、舞台設定が限られているので、満席になってもペイ出来ないというのが問題でもある。
助成金なしには成立しないということだ。
しかし、この日舞台を見ていて、観客はどんな反応なのかな、と思って注意していたが、どうも何を見ているのか分からなかった。
カーテンコールは4回程あったが、何が良くて手を叩いていたのか、よく分からない拍手だった。
隣に座っていたフランス人は、明確に反応し楽しんでいた。
拍手も、自分の中からの拍手だった。
最後のコールで、ヤニスが私に敬意の手を差し伸べた時も、「この人は何?」と反応していた。
他の観客はもしかしたら技術を見ていたのかも知れない。

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