人間の素晴らしさは
10人十色という言葉がある。
それぞれが違うという意味なのだが、大きくはそれぞれに人生があり、それぞれの時間を歩いているということだ。
それが、何かの弾みで交差した時、「突然」ということになる。
私としては友人の死を突然知った。
しかし、亡くなった友人は自分の道を歩いていて、寿命が来ただけだ。
もちろん、昨年お亡くなりになった田中武久さんも、ご自分の道を歩いておられ、私としては突然入院を知り、突然死を知ったことになる。
そういう具合に時間が交差した時、突然、その人との思い出が蘇る。
それは、もしかしたら記憶という装置を働かせる為の、遺伝子のいたずらかもしれない。
ピアニストの田中武久さんがプレイングオーナーとして、39年間、今年で40年になるジャズバー、セントジェームスが今月末で閉めることとなった。
奥さんであり、ジャズボーカルのロコさんからお電話を頂いて知った。
寂しい限りだが、実際には経営という現実の問題がある。
だから、思いだけではどうにもならない。
昨年の1月は追悼ライブを愚息の一輝とのデュオをやった。
それも突然だ。
25年、さらに7年のブランクがあってドラムを叩けるのか?
そんな危惧は「演奏をする」という決意で全てが吹っ飛ぶ。
私にとっての現実時間としては突然だが、田中さんの時間の中では、私は生きていたのだろう。
その思いがきっと「演奏をする」という私の決意になったのだろう。
今回、セントジェームスのさよならライブの日にはアムステルダムに発っている。
だから残念ながら参加出来ない。
であれば別の日に。
この無茶ブリの後押しも田中さんの気持ちだ。
早速一輝に電話「どうする?」「やったらええんちゃうん」「よっしゃ、ほんなら28日にしよ」全部気持ちだ。
気持ちが動けば、何かが動く。
決して、意味や理屈ではない。
そこが人間の素晴らしいところである