世代を超えた仕事

私が研修を続けている大阪の特養。
そこの常務が話していた最もな事がある。
それは、若い従業員達は、お年寄りと話が出来ない事だ。
お年寄りは、世話をしてくれる従業員に気を使って、話が合っているようにしているだけなのだが、そのことを全く分かっていない、と言う話だ。
そこで常務は「カラオケに行った時、懐メロを覚えること」と指示を出した事があると言う。

その通りだ。
お年寄りと、育っている時代が違うと言う認識がまずない。
だから、話が通じなくて当たり前だ。
そこでその突破口の一つとして懐メロである。

もちろん、家族にお年寄りがいて、日常的に会話をしたり世話をしている人にとっては、別段難しいものではない。
昨今では、そういった家族状況が少なくなっているから、自分でそれをどう補えば良いのかを行動しなければ駄目だ。
私は幸運なことに、祖々母に育てられたし、周りは年寄りだけだった。
だから、会話の術は無意識的に備わるしかなかったのだ。

若い福祉の資格を持っている人は、間違っても学校で習った事がそのまま通用すると思ったら駄目だ。
学校で習った事は、どうすれば「具体化出来るのか」を徹底的に考え、行動し自分の体感を作らなければ、何一つ通用することはない。
ただ、それぞれの施設には資格保有者が何人必要か、と言うルールがあるから採用されると言うことを知って置かなければ駄目だ。

私が研修をする特養で、仕事として使える人は、資格無しで就職し、そこで経験を積んで資格を取った人だけだ。
特に男性は、「具体化」を現実的に検証したり、考えたり行動したりして欲しい。
女性と比べて「社会性が乏しい」からだ。

先頃、ノーベル賞を取った本庶さんが「一番重要なのは、不思議だな、という心を大切にすること。教科書に書いてあることを信じない。常に疑いを持って本当はどうなんだろうという心を大切にする」「つまり、自分の目で物を見る。そして納得する。そこまで諦めない」 とおっしゃている。
もちろん、教科書を読めなければ話にはならないが。

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