10年前のワークショップは
台風接近前の晴れ。
早速、草刈りの続きだ。
こういった作業をしていると、私自身の不思議な潔癖症を見る事ができる。
草を刈るのだが、同じくらいの色合いや背丈にならなければ気に入らないのだ。
「何でやねん」と自分に突っ込みを入れ「刈てるのだからええやん、また2週間もしたら伸びるのだから」と言い聞かせる。
それでも目に入ると、その方向に身体が動こうとしてしまう。
困ったものだ。
そのクセ、机の上の整理は苦手なのだ。
何に対して潔癖なのか。
そこの根本を知りたいものだ。
2006年、丁度10年前の東京ワークショップは、スパイラルホールだった。
2005年に始めたワークショップとショーケースを、スパイラルホールのスタッフが見に来ていて、来年は是非スパイラルで、ということで実現したものだ。
2005年のショーケースは、オーディション形式で行ったが、大変な騒ぎになってしまった。
何しろ、リベンジ有りの4回戦だからだ。
1回目100数十人が受け、全員不合格。
そうなると、その中から殆ど全員がリベンジに回る。
もちろん、日程の都合などで諦める人もいた。
それが回を重ねる毎に増え、最終日には200人を超えるダンサーや役者達がオーディションを受けたからだ。
そこから16人を選抜しショーケースを創った。
これには相当疲れた。
スパイラルでは、そんな混乱を避け、ワークショップ中に選考することにした。
おかげで10人ほどが選抜され、ショーケースの運びまでスムーズに流れた。
色々な人の絡みで観客席には、野田秀樹さんや八嶋智人さん他、有名な人がかなり交じってくれていた。
この時も、前回も、衣装は皆川明さんがデザインしミナ・ペルホネンが作ってくれた。
10年前は、そういった贅沢なワークショップだったのだ。
時代は目まぐるしく移り変わっていく。
その頃顔を出してくれていたダンサー達は、今では皆無だ。
一人は岡山で、ワークショップのお手伝いをしてくれているくらいだ。
そういえば、岡山の主催者も、2008年位からの付き合いで、当時は大学生だった。
それに反して、私の海外でのダンサーに対するワークが支持され、色々と動いている。
皮肉なものだ。
もちろん、何がどうなのかは全く分からないが、確かに外国の方が熱い。
昨今のワークショップは、一般の人が増えているし、医療関係者も増えている。
ある意味で、目先のめずらしさから、中身に興味が移って来たといえるのかもしれない。
思えば、「感じろ」「関係しろ」という事で、始めたワークショップだが、どうもその意味が理解できなかったのではないかと思う。
「感じろ」は、当時のフォーサイスカンパニーでも混乱した。
もちろん、「関係しろ」も混乱していた。
武道から見た時、ダンスのそれらは、インチキな関係や感じるにしか見えないのだ。
だから、「何やそれ」となったのだ。
もちろん、そういった手前、私のいう「関係・感じる」を見せる必要がある。
だから、フォーサイスカンパニーのダンサー達と動いて見せたのだ。
その時、彼らが私の動きに驚いたというのが、ダンサーにとって「これは次世代の武器になる」と私は直感したのだ。
もちろん、彼らも直感したから、そこから10年間フォーサイスカンパニーから招聘が有ったのだ。
「感じる・関係」というのは、ダンサーなど表現者の為だけのものではない。
そうではなく、人にとっての重要な要素だ。
「感じる」は、どこまででも深くなる。
それの一番奥は意識だ。
「関係」も同じだし、感じるを媒介としているのだ。
拙著「考えるな!体にきけ!」は、そういった事にも触れている。
出版記念トークライブショー11月12日(土)午後2時~4時
http://2016hino.jimdo.com/
東京ワークショップ 11月21日‐24日
http://hinobudo.wixsite.com/workshop