一体、何を成長させるの
今回、ケベックへ私を招聘する為に、2年前から準備があり実現したそうだ。
もちろん、ケベック市がお金を出すのだから、相当ややこしい手続きが必要だろうと思う。
そして、主催者のソニアとアリエラ達はボランティアだそうだ。
そこまでして招聘してくれたのには感謝感謝だ。
滞在しているホテルの直ぐ裏手に4階建て位のビルが建設中だ。
そこは全部ダンススタジオだそうだ。
そのオープニングには、私のワークショップを予定しているという。
もちろん、それが実現できるかどうかは別にして、何とも有りがたく嬉しい話だ。
ソニアはシルク・ドゥ・ソレイユをたまに振りつけている。
もちろん、現役のダンサーでもある。
今回のワークで、多くのヒントを見つけてくれる事を祈っている。
こればかりは、身体で分からなければどうにもならない。
余りにも西洋的な身体論に馴染んでいるので、身体運動や身体表現の質があるということを知らない。
単に身体を細分化し、あるいは角度の違う言葉を使ってトレーニングをしているだけで、所詮クセの動きの域を出ない。
若いダンサー達は少しそのことに気づきだしたのが救いだ。
今日明日で、身体の質に付いて知って欲しいと思っている。
「水は液体か個体か気体か」
つまり、身体へのアプローチにはそういった、身体を構成する要素にアプローチしなければ、どこまで行っても同じクオリティだし、成長など有り得ない。
成長が有り得ないというのは、「何を成長させるのか」ということだ。
その答えを誰が持っているのだろうか。
今回ケベックへ出発する前日、7,8年ぶりにトライアスロンの関根選手から電話があった。
今では2児のお母さんだ。
元気な声で「先生元気ですか」は、こちらも元気になる。
私がサポートしていた時、何を言っているのだろう、とサッパリわからなかったそうだ。
当たり前だ。
逆に私が関根さんに付いている、全日本のコーチの言っていることがサッパリ分からなかったのだから。
「こいつら何を言うてるんだろう?と思っていた」と言うと「どうしてその事を言ってくれなかったのですか」と来た。
「わからなかったんやろ」と大笑い。
レベルの低いコーチが、持論を選手に押し付けているだけだったのだ。
もっというと、コーチよりも遥かに身体能力の優れた選手だという認識が全く無いのだ。
それでは、選手は壊れるしかない。
そんな話の中で、自分が指導するようになり、多くの世界のトップアスリート達の話を聞くほどに、私の話していたこと、指導していたことが、全て的を得ていたと気付いたという。
「先生を理解するのに10年もかかりました!」と大笑いし「また、教えて下さい」私は「お母さんになったのだから、また選手に戻ったらどう」と振っておいた。
全日本を制しオリンピックに出場し、ワールドカップではベスト3に入る程の身体能力を持つ選手にして、私の指導している事を理解するのに10年かかったという。
それを遺伝子の科学者に言うと「10年は早いですね」と笑っていた。
日野身体理論は、3日で出来る○○ではないのだ。