全部自分の責任として

「何があっても、全部自分の問題だと捉えることって楽しいじゃないですか。だって他人は自分では無いのだから、変えることは出来ないのですから」
取材の中での競輪選手の言葉だ。
31歳。
全部、自分の責任とし工夫をする、それを楽しいというのだ。
どうすれば楽しく出来るか、その工夫が「面白い」のだ。
競輪選手になり、最初の1年は地獄だったという。
もちろん、何も知らない世界だからではある。
トレーニングも、ああしろ、こうしろ、体重を増やせ、筋肉を増やせで、本当に辛かったそうだ。
それこそムカつく先輩がいたり、やたら説教をする先輩の相手をしたりが、苦痛でたまらなかったのだ。
しかし、競輪で食べて行こうと決めた以上、苦痛で仕方がない、ではどうにもならない。
「では、この環境で自分はどうするのだ?」
と頭を切り替えたという。
そこで、人間関係を学んでいるのだ。
学んでいるというのは、自分で工夫を重ねるということで、習うことでも教えてもらうことでもない。
自分で考える事が面白いと捉えているのだ。
だから、彼は際限なく成長をする。
「ムカつくって、エネルギーを使うから嫌じゃないですか。ではムカつかないようにするには、どう考えるのが良いのか。そんなことを考え実行するのが面白いのですよ」
自分が何かを工夫する、考えて一つ一つ解決していく。
それが彼にとっての「楽しい」であり「面白い」なのだ。
もちろん、頭脳も明晰である。
競輪では1秒間に2,5回転ペダルを回すのだそうだ。
そうする為に、つまり、ペダルを回すのに太ももの筋肉はいらないだろう、と考えるのだ。
たまたまその考え方を持つ彼だから、私の言う身体は連動する、とマッチしたのだ。
今日は、また違った事を教えた。
身体を感覚するスピードと、身体が動くスピードを同じにしろ、というテーマだ。
また6ヶ月後くらい先に「これで良いですか」と元気な声が返ってくるのを楽しみに待つ。
それを教えたら、早速駅の階段を上がる時に試している。
「いいですね、これ使えるかもしれません」
即断即決、即行動。
人生これだ。
31歳。
私の半分以下の年齢だ。
しかし、こんな素晴らしい青年がいること。
そんな若い青年と意思の疎通がある事自体、この上ない喜びだ。

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