体験させて

マルセイユでも体験させて欲しい、という人が沢山いる。
それはそうだろうと思う。
単純に野次馬と同じなのだから。
学びたい人は、慎重に慎重を重ね、用心深く私を観察し逆に手を出して来ない。
私もそうする。
大方の場合は、気軽に応じるが応じない人もいる。
それは自分の考えに固執しすぎている人だ。
若い人にも多いが、年齢の高い人とはまた違った意味を持つ。
若い人は、自分で何でも理解できると思っている人だ。
年齢の高い人の場合は、逆に自分だけの世界が世界だと思い込んでいる人だ。
昨日も、50歳代の男性で、何かの先生だ。
ドッタンバッタン、自分の道場のように振る舞っていた。
稽古の方法や、稽古とはなにか、等々を時間をかけて話をしていくと、大方の人はそれを理解し、その場の約束事を頭に入れていく。
だから、どんどん稽古がスムーズになる。
終盤近くに仕方がないので、その50歳代の先生に体験してもらった。
両膝への体重の移動だけで、相手は倒れるというものだ。
男性は、思い切り踏ん張り、私に倒されまいと抵抗する。
倒れそうになっても、私に何か仕掛ける。
意に介さず、そのまま男性を倒し、最後は床に押し付けて身動きできないようにした。
何と拍手が起こった。
つまり、60名の参加者のうち、半数以上の人はその男性を「何も分かっていない」と理解していたのだ。
そして、稽古にはなんとも邪魔な存在だと認識していたということだ。
人は自分のことを分からない、ということの典型である。

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