気持ちの切り替え

野地板が少し進んだ。
複雑な加工が必要な箇所があると作業は思うように進まない。
でも複雑な加工が上手くいくと嬉しくなる。
ほんの一瞬だけだが。
やっている作業が次に向っているので、嬉しい気持ちに囚われている暇は無い。
ここの切り替えが大事だ。
人は色々な出来事に対して気持ちは動く。
良い気持ちも悪い気持ちも。
その気持ちにどれだけ時間を割くのか、というところが、切り替えが上手くいくかいかないかの分かれ道だ。
人は「忘れる」という能力を持っている。
以前聞いた話だが、ある有名な数学者が数式を解いていた。
もちろん、数ヶ月数年単位の話だ。
ずっと、数式を書いていくのだが、ある時、壁に書かれた数式を見て「これは誰が書いたのだ、良い解き方だ」と言った。
それを聞かれた人は「それを書いたのはあなたですよ」と答えた。
「忘れる」から新しいアイディアが浮かんでくる。
忘れるから、もっと考えられる。
コップが一杯になったら溢れ出て、それ以上は捨てない限り入らない。
新しいものを入れることが出来ないということだ。
その「忘れる」を有効活用する。
といっても、それは意識的には出来ない。
だから数学者のように今やっていることに集中すれば良いのだが、私達はそこまで集中できない。
であれば逆に「今、自分のやっていることは何?」を改めて確認すれば良いということだ。
そして、前の気持ちを放っておいて、やっている事に集中していく。
そうすると、今、やっていることだけの世界に入れ、結果忘れたことになり、気持ちが切り替えられたことになる。
人は前に進むしかない。
であれば、囚われていることからいかに切り替えられるかが、前に進む為の鍵になる。
この道場を建てるのに10年かかっている。
それは気持ちの切り替えの練習に費やした時間だったのかもしれない。
おかげで、道場には何一つ思い込みは無い。
建てただけだ。

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