目が痛いから三角倒立で治す?
朝モーニングコーヒーを飲みに、喫茶店に行った。
横のテーブルに、両親とおばあちゃん。
といっても、おばあちゃんは私よりも少し若い感じ。
そして3歳くらいと5歳位の男の子が、何やら楽しげに話していた。
隣の席だったので、聞き耳をたてなくても、会話の内容はよく聞こえていた。
「太陽と雨の違いは?」とお母さん。
二人の子供は「はい、はい」と、嬉しそうに手を上げそれに答える。
答えは実に常識的な方向へと、親に誘導され進んで行く。
そうか、子供の豊かな発想は、こんな教育で壊れて行くのか、と、最悪の家庭教育の現場を垣間見えた。
面白くも何ともない答え。
それは学校が欲する答えやろ。
おっさんでもおばはんでも分かる答えるやろ。
という答えに誘導されていく。
最低の両親達だ。
先日、本部の稽古が終わり談笑している時、9歳を筆頭に3人の男の子の子育て真っ最中の生徒が、その奮闘記の一部を話してくれた。
とにかく毎日が戦場で、母親はずっと子供達を叱っているという。
しかし、子供達は一瞬は、シュンとなるが、ケロッとしてまたいたずらや暴れ回るという。
「そら、当たり前やで、当分はその繰り返しやで」と私。
「食事なんか、食事にならないのですよ。子供達は食事よりも楽しい遊びを直ぐに見付けるから。この間も目が点になったことがあります」
家族5人で食事をしている時、真中の小学1年生の子が「目が痛い」と言いだした。
続いて「目が痛いから、三角倒立をして治そう」と言いだしたのだ。
両親は目が点になり、一瞬フリーズしたという。
そらそうだろう。
食事→目が痛い→三角倒立→治る、という発想など、常識的な頭に殆ど支配されている大人には湧く筈も無いからだ。
それを聞いて、その場にいた大人達も全員フリーズした。
そして大爆笑!
小学1年生が三角倒立をはじめると、「僕も」と長男。倒立の出来ない2歳の三男も「僕も」。
これでは食事どころではない。
お母さんが「さっさと食べなさい!」と叱る。
何とも、健全な家族ではないか。
ここの3人の子供達は、全員レスリングをしている。
そのきっかけは、過疎の村での生活だから、人との関係、人との距離感、肌感覚が欠落する。
それは、私自身の愚息を育てた経験から分かる。
そして、色々な学校の規則があり、危険だからと山や川で遊ぶことも出来ない。
当然子供達の殆どは、家でゲームをしているのだ。
その経験から、子供達と身体をぶつけ合えるレスリングが良い、と薦めたのだ。
まず、長男が初め、それを見ていて二男が参加、2歳の三男はお兄ちゃん達に揉まれている。
長男は、1歳の頃から大きな馬に平気で乗っていた。
馬の世話もちゃんとしている。
だから、身体そのものが強い。
小さな身体で一輪車を操り、馬の餌を運んだり馬を磨いたりしていた。
だから、試合に出ても同年齢の子供達では相手にならなかった。
あっという間に県下で優勝、西日本でも優勝した。
冒頭で紹介した、和気あいあいの家族の子供達は、今にも折れそうな爪楊枝の様な身体とはまるで正反対だ。
きっと、何もかもが違うだろうと思う。
喫茶店の家族は、テレビドラマのような、嘘くさい和気あいあいだが、レスリングの家族は、ガチンコでぶつかり合っている。
何があっても生き抜いていく力は、ガチンコでしか育たない。
常識的な頭や身体では、咄嗟の変化に対応出来る筈も無い。
目が痛い→三角倒立→治る。
無茶苦茶楽しいではない。
9月の東京ワークショップは基本からみっちりいきます。
http://www.real-contact.jeez.jp/index.htm