昔日の剣の達人伊藤一刀斎は
「身体に備わる機能を使うことが剣の妙機」
だと記しています
それを簡潔に言うと、無我無心になると身体が解放される。
また、解放された身体がからだとして合理的に働くから、そこを稽古していくことが、たどり着く答えだと発見したのです。
「面白いでしょう」剣の極意が刀の使い方や足捌きといった身体操作ということだけではなく、「身体の機能を使うこと」という事が。
それは、武道はどこまでいっても人との関係で成り立っているからです。
つまり、自分だけがいくら頑張っても駄目だと、今から400年も前に看破していたのです。
しかも無意識領域を働かせることだと言い切っているのです。
日野武道研究所では武道史に残る教えや言葉から、からだと自分との関係、そして他人との関係にアプローチする。
そのことを武道だと考えています。
つまり、武道の「技」は、「からだ(こころも含む)の技術」だという捉え方です。
身体を使う?
身体を使う、身体の使い方、というコピーが沢山溢れています。
身体を使うというのは、頭を使うということで、身体の使い方というのは、考え方ということです。
当たり前の事ですが、身体が勝手に動く事はありません。
身体は、頭や気分、欲求が動かしているのです。
ですから、考え方を変えることが、身体に新しいプログラムを導入するということになります。
例えば、道を歩く時、自分の注意を胸骨の中心に向けてみましょう。
そして、動きをリードするのは「胸骨」にしてみましょう。
歩くスピード、姿勢、全部変わります。
つまり、「胸骨に注意を向ける」という考え方が、身体を変化させたのです。
ちなみに、サッカーの名選手メッシは「サッカーは胸骨でやっている」と言っています。
武道とは、何でしょうか?
武道を簡潔にいうと「自分を超えていくこと」を目的に稽古をすることです。
自分のクセ、自分の考え方、自分の価値観、自分の感覚、自分の身体……
それらを超えていくこと、つまり、色々な意味で自分を成長させる為のものなのです。
そして、それは「人との関係」の中で生きているので、そこで自分らしく生き生きと生きていく為に必要なのです。
まず、勝ち負け、白黒、という考え方を変えていきます。
相手のいう事を聞く。これは相手という他人を使って、自分の幅を広げる為です。
しかし、これは外国の人達には至難の業です。
「私は」という考え方だけで育っているからです。
相手を聞く、というのは、自分の身体や頭には、自分の体験や知識しかありません。
そこに相手という、自分ではない体験を足せば、誰が考えても自分の幅が広がるのが理解出来ると思います。
自分を超えていく
自分のクセ、自分の考え方、自分の価値観、自分の感覚、自分の身体……。
でも、それらは「自分が知っている」のでなければ、変え様も成長させようもありませんね。
ですから、自分を知ることが、自分を超えていく鍵です。
「自分では丁寧に相手に接しているつもりでも、相手には自分勝手に動かしていると言われる。
また、第三者の視点からも雑に扱っていると言われる。何とか修正したいが、自分では丁寧に接しているつもりなので、どうしたらよいか分からない。
頭で考えてはいけないのは分かっていても「もっと相手を感じよう」とか「もっと丁寧に」とか考えてしまう。
だから実際には何もやっていない 武禅 初参加30歳代 会社員」
これは「武禅」の参加者のレポートですが、大方の人は「自分を知らない」のです。
知らなかったら、知ればよい。ただそれだけです。
身体には無限の可能性がある
身体には無限の可能性があります。
例えば「火事場のバカ力」と言いますね。
それが身体の可能性を開く鍵です。
つまり、頭(意識)が「もう無理、これが限界」等と身体に働きかけるので、余程切羽詰った時、つまり「火事場」でなければ、その能力は発揮されないということなのです。
ですから、いくら身体のトレーニングを積もうが、自分の限界は直ぐにやってくるのです。
それは、プロのアスリートの方達や、プロのダンサー達には死活問題です。
だから、その限界を突破する身体の使い方、意識の使い方に飛びついてくれました。
最初は、オリンピックに出場し、次を狙う選手でした。
また、2005年から招聘され指導続けている、ドイツを拠点とする、世界のトップダンスカンパニーのフォーサイスカンパニーです。
そこを皮切りに、多くの有名カンパニーや、芸術大学。特に外国では、理解者は増えています。
それは、何故かというと、西洋で発祥している身体理論の行き詰まりを、肌で感じているからです。
ですので、2005年から毎年ヨーロッパに指導に言っていますが、招聘される国はどんどん増えていっています。
身体の持つPotentialを引き出すポイントは、ずばり「胸骨」にあります。
胸骨を操作し、背骨、肘、膝、骨盤等へ連動させるのです。
もう一つあります。
「足を突っ張らない・力まない」ことです。
これは今すぐにでも試せるでしょう。
足を突っ張らなければ身体が、無駄な力みを持つことはありません。
そうすると、自分の実力は十分に発揮されるのです。
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