目を閉じればプライベート

結局、熊野では簡単な修理しか出来なかった。
天候という天敵があるから仕方がない。

熊野に来て、「あれっ」と思ったら狸と思ったら、よく調べたら実は穴熊だった。
コロコロしているから、一見狸と間違えたのだ。
町役場でその話をしたら、写真を見せてくれた。
見ると穴熊だったのだ。
熊野に来て35年になるが、見たのは初めてだ。
逆に最近見なくなったのは、狐と狸だ。
どこへいったのだろうと、心配になる。

そうか35年になるのか、と今思った。
人生の半分だ。
それを思うと、前半の35年はまさしく基礎づくりだったと思う。
現在の70歳を作るための時間だったのだろう。

10代の頃、仕事は水商売だが、それらは全部住み込みだった。
一つの部屋に2段ベッドが4台あり、8人が生活する。
と思えば、12畳くらいの部屋に5.6人が雑魚寝で生活をする。
個室の時もあったが、大方は、そういった雑魚寝形式の部屋だった。

もちろん、プライベートなどある筈もない。
そんな生活が、「目を閉じればプライベートだ」という考え方を生んでくれたのかもしれない。
しかし、その当時は6畳一間に家族4人が住んでいる、というのは普通だった。
共同台所、共同トイレ。
風呂は銭湯。
そんな時代に育っているから、こういった住み込みなど何とも思わなかったのだ。
環境が自分を作るではなく、環境で自分を作るのだ。

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