盗むもの

面白い話を聞いた。
4月のオランダでのワークショップの時、主催者が日本人ダンサーに、ダンサーも集客できないかと聞いた。
日本人ダンサーは心当たりをあたったそうだが、当たったダンサー達の答えを聞いて私は大笑いした。
私のワークは何も持って帰らせてくれないから駄目だ、というものだったのだ。
つまり、日本人ダンサーが当たったダンサー達は、私からダンスのフレーズでも習えると思っているのだ。
そして、フレーズが増えればダンスだと思っている、ということだ。
もしも、私のワークから何も得られないのであれば、どうして今回のワークショップでもスイスからダンサーが来たり、マルセイユバレエ団のダンサーが受けられなくて悔しがっているのか、だ。
また、武道の人達が回を重ねるごとに、どうして増えるのか、だ。
そんな話を主催者の奥さんである、フルート奏者にした。
呆れた顔をして、「学ぶというのは盗むということでしょう、与えてくれないって、どういうことなのですか」と言っていた。
名言だ。
西洋音楽の世界でも、学ぶという事は学ぶ側の問題が大きく関っている、と認識しているのだ。
以前、オランダでダンスのワークショップをした時、その程度の低さに驚いた。
日本以下の幼稚さだったからだ。
もちろん、そうではない人もいたが、傾向として幼稚だった。
途中でキャンセルしてやろうかと思ったくらいだ。
特に大学生達は、どうにもこうにも話にならなかった。
本当に餌を待つひな鳥状態で、口を開けて待っているだけだったからだ。
そのくせ、餌には注文をつける、そんな状態だったのだ。
私のワークショップは深くて難しい。
それはフォーサイスカンパニーに、始めて教えに行った時、ウイリアム・フォーサイスから言われたことだ。
付け加えて「私のカンパニーのダンサーだから出来ることで、他のダンサーなら無理だ」とも言われていた。
だから、「やっぱりそうなんだ」とその時に実感した。
という流れの中、4月のオランダはどうなるのだろう?
第90回武禅一の行 3月21.22.23日
https://www.hino-budo.com/buzen4.html

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