何とも

朝食をとるためにエレベーターに乗った。
若いカップルも含め、小さなエレベーターは満員だ。
ある階に止まり、また一人乗ってきた。
乗ってきた男性は、そのカップルの女性の前に後ろ向きで立った。
女性は男性の背中側にいるが、1㎝も後ろに下がろうとしない。
後ろには30㎝程の隙間があった。
この女性は、違和感を全く感じている様子も無かった。
危機感とまでは行かなくても、普通は見ず知らずの他人に対して違和感、嫌悪感を感じる筈だ。
それとも、満員慣れをして、そういった異物に対する免疫反応が退化してしまっているのか。
そのように他人に対して反応しない、出来ない人が増えてきている。
まるで死人だ。
でも、きっとその事を言葉を用いて聞くと、的確な言葉が返ってくるのだと思う。
いくら言葉では反応出来ても、肝心の身体の生理反応が退化していっているのだから、全く意味が無い。
実際には使えないのだから。
昨日のワークショップ終了間際、人の話を聞く、聞き出す、という実際を皆に見せた。
つまり、関係と言う事の実際だ。
人と人との関係が見えた時、見た人は幸せな気分になる。
それは、動物同士のじゃれあいや、親に寄り添う子供を見ているのと同じ状態になるということだ。
臨床心理の先生に、その状態のことを「響く」だと説明した。
臨床心理には、患者との面接のおり、聞く、聞きに行く、という言葉があるという。
「それではあきまえへんで、人は基から共鳴体で、意思が相手に向かえば『響く』という現象が起き、それを関係と呼ぶのですよ」と。
その実際を体験した先生は、一からやり直しだと言っていた。
人と人との関係は理屈や理論では語れない。
むしろ、それらを取り払った時に、関係が見えてくるし成立するものなのだ。
今日で最後のワークショップで、そんな一端を体験してくれたら嬉しい。
7月28.29.30日沖縄ワークショップ
9月15.16.17.18.19日東京ワークショップ
https://www.hino-budo.com/

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