「集中されていない・イメージが出来ていない」

イメージを言葉化するのは非常に難しいのです。それは、「頭の中」の作業だからこれが正解でこれが間違っている、と言葉で表しても、その言葉を受け取る側が「現された言葉」を自分のレベルに応じてしか解釈できないからです。
そういった事を大前提として捉えておいて下さい。

その上で、ここで言う「イメージ」は、「沸き上がってくるもの」であって、何もないところから頭に思い描くことでは無いということです。それは、「思い込み」という誰にでもできるレベルであって、その思い込みがイメージなのではありません。オットーはこの「思い込み=イメージ」という事をしていたので、外からの刺激で潰されてしまったのです。
逆に言えば、思い込みというのはそれくらいレベルの低いものだということになります。
ここのところがややこしく、一般的にはトレーナーであれコーチであれ学者であれ混同しているところです。
何故混同するのかは、先程も指摘しているように「頭の中の作業」だからです。

では、本当の「イメージ」とはどんなものなのでしょう?
それは「頭の中」で創りだす作業なのではなく、「身体化」されたものです。つまり、イメージと身体が同化しているものと考えて下さい。
その上で、ある局面に遭遇したとき、例えばこのオットーの例でいえば、世界選手権という場で「沸き上がってくる」のです。では、なぜ沸き上がってくるのか?基本的にイメージが身体化されており、それは、自分自身が例えば陸上競技に取り組むと決断したとき、大きな意味で粗っぽいイメージが出来ています。

当然、目的は世界で一番になること以外にはありませんから、そういった意味での「闘争心」も人一倍であるはずです。
そして、様々な練習の過程でその粗っぽいイメージがだんだん密度を高めていきます。結果、イメージは身体化されてしまうのですが、この過程を踏まないほとんどのアスリート達は、常に「思い込み」の世界と同居しなければなりません。
結果、「調子が良かった・悪かった」という、非常に曖昧なところで実力を出せないまま、選手生命を閉じることになるのです。
さて、そういった大前提があるのですから、世界選手権という場で、つまり、自分自身の目的の場だから必然的に沸き上がってくるのです。イメージは作りだすものではなく、あるものだと思って下さい。そのイメージの無い人は選手になってはいけません。

「何を言っているの」

スポーツという近代に作られたゲームは、常に科学と歩いています。であるから、そこで考えられていることは常に新しく一番正しいことだ、と思われがちです。
しかし、私の専門の日本の武術史に残る数少ない達人達は、このスポーツでいうメンタルなことは、当たり前のこととして消化してきました。それは、自分自身の気分や感情などが、自分自身の動きに影響するという事を知っていたからで、それ等を克服する工夫を凝らしてきたのです。
これが消化できなければ、もしかしたら試合であるいは決闘で自分の生命を落とすからです。

伊藤一刀斎(足利時代末期)などは、そういった人の生理を通り越し無意識領域をいかに活用するか、を発見し実践した数少ない達人です。
つまり、ここで「何を言っているの」とは、こういった下地が日本の文化の中に(500年以上も前に実用化していた)、そして、私達日本人の遺伝子の中に刻み込まれているのに、わざわざ、近代に入りしかもつい最近になって言われだしているようなことに目を向けるのは可笑しい、という事です。

「腸骨筋と大腰筋」

「腸骨筋と大腰筋」は、最近注目されている筋肉で二つが関連しているところから「腸腰筋(ちょうようきん)」と呼ばれています。
外国では深層筋肉とか、深部筋肉と呼ばれており、運動においては非常に重要な位置を占める筋肉だと最近いわれ始めたものです。

しかし、この筋肉を鍛えるとなると少し厄介なことがあります。
それは、表層の筋肉を主に働かせることで、又鍛える事で運動を支えてきた、という西洋的な考え方が身体化しているので、思うように行かないのです。つまり、この身体内部に位置する筋肉を効率良く働かせようとしたら、表層の筋肉のきを半分以下に抑えなければならないということです。

もう少し、曖昧に極端に言えば、表層の筋肉の働きをゼロにした時、腸腰筋が働きだすという事なのです。しかし、この身体の使い方は西洋(特にアメリカ)
から見れば新しい発見なのかもしれませんが、このサイトで言う武道から見れば普通のこと、当たり前のことであって、取り立てて問題視するようなものではないのです。

なぜそう言い切れるのかと言いますと、この内部の筋肉の働きと表層の筋肉の働きをバランスよく使えるからこそ、年老いても強かったと言われている昔の剣の達人の存在そのものを否定することになるからです。
また、この「腸腰筋(インナー・マッスル)」は、スポーツ界で有名になり「運動」で魔法の玉手箱のごとく注目されていますが、実際には生命活動として非常に重要な役割を持った筋肉です。
というのは、この筋肉群は背骨から大腿骨にかけて引っぱり上げるように繋がっています。という事は、地球上に掛かる重力から身を守るという役目を担っている筋肉だと考えることが出きるからです。
つまり、1Gという重力から生命体としての身体を守る唯一の筋肉だということです。
いずれにしても、この「腸腰筋」をきちんと働かせてやるためには、末端肥大症のごとく表層の、そして、身体の部位だけの筋肉とレーニングは駄目だという事です。

いかに、お腹や腰・背中を緩める(脱力ではありません)ことが出きるか、そして、バランスよく使うことが出きるかが、大きなポイントになっていきます。そして、このバランスよく働かせる為のトレーニング法は、日野身体理論で言う「連動」しかありません。もっとも重要な感覚は「背骨」に対してどれだけ精密に実感し働かせることができるかです。

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